低脂肪・低残渣レシピ : コラム

Colum
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調理での注意 <1、低残渣>

野菜を上手に摂ろう

腸への負担を軽くする作業を心に留めておくことで、それまでの食事の安全度が格段にアップします。
通常の調理法、食感とは違うけれど、食べられるものが増えるメリットは私にとっては非常に大きなものでした。
今回は食物繊維についてです。
食物繊維への対処のポイントは、「切る・壊す・取り除く」この3つです。

<切る>垂直と平行では大違い

基本は繊維をできるだけ小さくすること。
「繊維方向に直角」です。

<壊す>煮くずれ万歳

切る、すり下ろす、つぶす、ミキサーにかけるなど、繊維を細かくすることで、消化が良く、刺激も少なくなります。
これは私にもすぐに実践しやすい事でした。
でも大きな勘違いで失敗をしてしまいました。
それは圧力鍋です。
栄養指導を受け始めた頃の失敗談ですが、圧力鍋で煮ると短時間でとても柔らかくなるので、消化は良いはずだと安心して食べていたら、腹痛や下血が増えてしまいました。
圧力鍋は、繊維を壊さずに素材を柔らかくするものなので、繊維の刺激はそのままの状態なのだそうです。
煮物など、普通は嫌われる煮くずれ。
しかし、これは繊維がもろくなって壊れた状態であり、実は消化が良くなっているのだと言われました。

野菜に関しては「柔らかい≠消化が良い」がミソ
「野菜は普通の鍋でよく煮る」これ鉄則
「肉・魚は圧力鍋で煮る」これ最高!(面倒なのでつい普通鍋やフライパンばかりになってしまいますが…)

<取り除く>

食物繊維には、水溶性、不溶性の食物繊維があります。
水溶性の食物繊維(ペクチン)は便の水分を吸収して下痢を軽くしたり、腸内細菌叢による発酵を受けた後の発酵産物が大腸粘膜のエネルギー源となるなど、炎症性腸疾患の患者にとっては良い作用があります。
そして腸管に与える刺激が少なく、ぜひ摂っておきたい成分です。
りんご、バナナ、桃、海草のぬめり成分(アルギン酸)などに含まれています。

不溶性の食物繊維は、腸管への刺激が大きく、腹痛や下血の原因となりやすく、また狭窄のある人には閉塞の危険が高くなり、症状が落ち着くまでは取り除いた方が良い成分です。
ごぼう、きのこ類、こんにゃくなどに含まれています。

裏ごしすることで、大きな食物繊維、主に不溶性の食物繊維を取り除く事ができます。
腸管への刺激となる食物繊維は、その含有量や、体調に応じた対処で使い分けることも大切です。
例えばジャガイモ。
体調の良いときには、皮をむいた後に薄切りにしたり、1㎝角に切ってスープにいれます。
体調が悪くなり始めた時には、マッシュポテトにして消化の良さをあげます。
そして、体調が悪いときには、さらに裏ごしして食べます。
同じ食材でも体調に応じて使い分けることで、少しでも栄養を摂るようにしています。

調理での注意 <2、低脂肪>

人生イロイロ、油もイロイロ

脂肪も腸の蠕動運動を亢進させ、下痢や腹痛の原因となりやすく、控えた方が良い成分です。
脂肪というと、油をまず思い浮かべますが、肉や魚、大豆をはじめ、様々な食品の中に含まれています。
調理時の油だけでなく、食品に含まれる脂質をも考慮することが大切です。

さてその「油」、私は大分泣かされました。
弱ったお腹をグルグルいわせる圧倒的な威力がありました。
ひとこと「油」と言っても種類も働きも様々です。
下記の表は成分の特徴別に分類したものです。

飽和脂肪酸 ラード、牛脂、バター、パーム油
一価不飽和脂肪酸
(オレイン酸系列)
オリーブ油、紅花油、キャノーラ油、ひまわり油、椿油
n-6系脂肪酸
(リノール酸系列)
コーン油、紅花油、大豆油、綿実油、ブドウ種子油、ひまわり油
n-3系脂肪酸
(α-リノレン酸系列)
えごま油、しそ油、EPA、DHA


飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は体内で作られ貯蔵エネルギーとなります。
n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸は食物から摂らなければならず、必須脂肪酸と呼ばれています。
n-6系脂肪酸は炎症性腸疾患などの発症や悪化との関係が報告されていますが、n-3系脂肪酸はn-6系脂肪酸から作られるエイコサノイドの強力な生理活性作用を調整する重要な働きがあるるといわれています。
n-6系脂肪酸はほどんどの食品に含まれているのに対し、n-3系脂肪酸は魚や野菜にしか含まれていません。

私の油の法則は

  1. 調子の良いときに使う。
  2. 使う場合は一価不飽和脂肪酸(オレイン酸系列)の中のオリーブ油をメインに使う。
    (オリーブ油に比べて高価ですが、マクトンオイルもオススメです)
  3. 炒めもの等でテフロン加工の鍋でもくっつきそうな場合には少量の水を入れて蒸し焼き風にするか、小さなスプレーボトルに入れて少しずつ加えるようにします。
    今使っているスプレーボトルは10プッシュで1g。
    つまり、1プッシュで0.1g、量の管理も簡単になりますよ。
  4. 肉より魚
    魚に含まれるn-3系脂肪酸(α-リノレン酸系列)は、魚や野菜にしか含まれていない必須脂肪酸です。
    同じ脂質量のものを食べた場合、魚の方が下痢になりにくいようです。

噛む!!

消化の助っ人を呼びましょう

唾液は消化を助けてくれる大事なもの。
唾液中のアミラーゼという消化酵素が糖質やでん粉などを分解してくれるのです。
噛むことで、その唾液の分泌を良くする効果があります。
良く噛もう!
当たり前、そう思うかもしれませんが、意外と忘れがちです。
例えばお粥。
私はほとんど噛まずに飲み込むようにしていました。
プリンやゼリー、豆腐は適当に噛んでおしまい。
少しでも大腸への負担を軽くする為に、調子の悪いときほど、柔らかい物でも意識してよく噛んで食べましょう。